活動報告 |
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第2回ワークショップ
(1998年1月20日〜2月4日) |
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スタッフ |
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広若 剛 | 国際炭焼き協力会事務局長 炭焼き専門家 |
高橋 丈夫 | 益子グリーン&アース.ファーマーズ代表 農家、養鶏家、炭焼き専門家 |
須田 二郎 | 自然農法家。炭焼き専門家 |
横田 仁志 | コーディネーター |
第2回目のワークショップも、チンチップ村と州都のアイゾールの2ヶ所で開催しました。
ミゾラム州の州都アイゾールから南に90Kmのところにあるチンチップ村は、アジア学院(アジア農村指導者養成専門学校)に96年度の学生としてラルテさんを送り出した村です。98年もこの村からラルミンタンガ君がアジア学院に来て勉強しました。
ラルテさんはアジア学院でよく学び、帰国してからは学校で習った通りに畑を作り直したり、指導して歩いたり、一生懸命活動しています。彼の家には毎晩のように村人が集まり、指導を請うようになったそうです。もちろん我々の滞在中も毎晩大勢の人が集まり、電気のない村としてはかなり遅い、夜の11時頃まで白熱した討議が行われました。 また、95年度のアジア学院の卒業生のダーラさんも、車で8時間の山道を遠路駆け付け、熱心に参加してくれました。彼は事前に送った資料を基に、沢山の質問をスタッフに浴びせていました。また、現地の土地利用の調査にも協力して頂き、とても助かりました。 |
ワークショップは第1回に続いての炭焼きを中心に、養鶏の指導と現地の農業状況、焼き畑の現状を更に専門的に調査してきました。
講義風景
炭焼き |
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炭焼きでは、すでにだいぶ腕を上げた者もおり、木酢液も質の高い物を採取していました。ただし、炭焼きの目的が木酢液の採取に向かっており、その木酢液も万能薬としての評判が需要を呼んでしまっているのは問題です。粗悪品は精製が不十分で発がん物質のタールを含んでいる可能性が高いからです。ちなみにチンチップ村産の木酢液は評判が高く、75ccで180ルピーという高値で売られています。他の村で作った粗悪品でも180ルピーだそうです。今、この粗悪品が安く出回っていることにチンチップ村では危惧を抱き、木酢液協会なるものができて対策を立てています。国際炭焼き協力会ではチンチップ村に認定証を発行しました。
人々の頭は木酢液ばかりで、畑の土に炭の粉を混ぜるように話しても、質問の中では「どの位の木酢液を混ぜるのか」と頭の中では木酢液にすり変わってしまう始末です。気を付けて見ていかなくてはならないところです。
ドラム缶を使った炭焼き窯に炭材を詰め込む
完成した炭
今回は炭焼きの時に家畜の骨を入れて一緒に焼き、鶏の餌の骨粉を作りました。ミゾラムでは他のインドと違い、キリスト教なので肉をよく食べるので、家畜の骨が残ります。それを使って鶏にカルシウムとリン酸を補給しようとするものです。
養鶏指導 |
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ミゾラムでは卵のほとんどを他の州から輸入していますが、養鶏への関心は高いものがあります。問題は餌代が高く付いてしまい、卵の値段も上がってしまうことです。現在輸入品が1個3ルピーに対し、地元産は5ルピーになってしまいます。この村でも輸入品はケージ飼いの大規模養鶏場から来るものであることは知られており、羨望があります。
養鶏の指導の時にも、どうしたら多くの鶏を飼うことができるのかに質問が集中しました。事前に現地に送っておいた今回のスタッフの紹介の『高橋氏は8000羽の鶏を飼っている』という情報に、村人たちは高い関心を持って待ち受けていたのでした。この状況で、抗菌剤抜きには難しいケージ飼いを決して勧めず、平飼の小規模養鶏の指導をするのは至難の技でした。それでも鶏の成育段階における体の特性や餌の配合など、皆、熱心にノートを取っていました。
農業調査 |
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農業調査の結果、須田氏と高橋氏は
チンチップ村では4日間のワークショップに延べ450人が参加しました。今、チンチップ村では、人が大きく変わろうとしています。ここをモデル地域にまで持っていき、他の地域に波及できればと期待を寄せています。
アイゾールでのワークショップ |
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次に、ミゾラム州の州都アイゾールでもチンチップ村と同様のワークショプを3日間行いました。場所はこのプロジェクトのカウンターパートとなっているHIFADI(Hilly Farming Developmennt Insutitute)農場で、ここでも3日間で延べ250人の参加があったのですが、州都だけあって、役人や直接農業に携わっていない人なども多く、実習よりも木酢液の効用や大規模養鶏についての講義に関心が集まりました。その中での質疑応答では、通訳をさせた獣医学博士が通訳をせず持論で答え始めたり、農業省の役人が勝手に答え始めたりと、自分達の威厳を主張するかのような態度が随所に見られ、その対応には苦慮しました。それでもこの農場では自主的に炭焼きワークショップを行っており、その時の炭焼き窯の跡や、採取した木酢液の品質から多くの改善点を指摘することができました。
村と町では、人々の生活環境・考え方に大きな隔たりがあり、ワークショップも受け取り方に大きな違いがありますが、農業の大切さがすべての人に認識され、その技術向上に人々の目が向けられるように、今後もミゾラムの開発を続けていきます。