ミゾラムからの手紙
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2002 年 8 月 7 日  

横田から近況が届きました(内容を再構成しています)。

 


待望の米の収穫(2001年10月)

米粒が欲しいわけではなく、ここの品種、陸稲でどの程度実るのかを実際に自分の目で確認したかった事と、稲藁が欲しかったので、一応は満足です。

米はなんとしても自給したいものです。単に主食であると言う事だけではなく、稲藁、籾などの農業に必要な資材が取れるからです。政府は基本的に焼畑を禁止していますが、換金作物としての生姜生産を推奨しており、結局これも焼畑で行われているので、それなら米を作り続けるべきだと思っています。一時期生姜が良い値段(80円/kg)で売れた事から皆これを真似て爆発的に増えましたが、結局市場が無く、8円/kgにまでなってしまいました。それでも夢見る農民は売れるまで待つため、収穫せず保存のために畑に植えられたまま。畑の無駄遣いなのです。

母の死亡(一週間にわたる葬式)(2001年11月)

11月2日にこちらの義母を亡くしました。1年前から分かっていた肺ガンによるものでしたし、家族も医師の治療を拒み祈祷師に従っていましたので、冷たい言い方かもしれませんが、私にとっては予定通りの死でした。

こちらの習慣により、1週間昼夜ぶっ続けの葬式、実際は昼間は3日ほど毎日弔問客が訪れてほぼ終わりですが、夜は毎日歌い続けると言う、家族にとっては厳しいものです。

鶏の全滅(2001年11月)

ちょうど母の葬式中から、鶏がどんどん病気に罹り死んでいきました。結局わずか10日間の間に1羽を残して60羽以上、ほぼ全滅してしまいました。獣医畜産省の獣医に解剖してもらった結果、原因はニューカッスル病でした。

そうは言ってもワクチンをきちんと普及できない責任は取らないし、獣医畜産省では整った自分の孵化場で大量に生産するのでワクチンを使いこなし、そのヒナを配給しているだけで、一般の農家にはとても真似できるものではありません。小規模で行う養鶏が全く考えられていないのです。養鶏の意味とは肉や卵の生産だけでなく、鶏糞の生産・利用を考えているので、各農家での小規模養鶏でなくては意味が無いのです。大規模養鶏は結局金持ちをより金持ちにしてしまうだけなのです。

使いたくない抗生物質は常温保存できるので普及していますが、使いたいワクチンが上記の点で利用が難しい状況です。しかし試しに与えた地元の細菌を培養して作った液体がもしかしたら使えるのではないかと期待しています。

獣医には鶏舎を充分消毒し、放し飼いの鶏を全て処分し、2週間以上空けてから使わないと、またすぐ同じ病気に感染すると宣告されましたが、引き続き雛を購入し、細菌培養液を与えたら、それ以後ニューカッスルは発病していません。2月に来て頂いた『生命農法』(三五館)の著者で百姓の高橋丈夫さんにも確認したところ、これで良いとのお墨付きを貰いましたので、一つは成功を見る事ができました。獣医畜産省の獣医も関心を持ち始めていますので、ある程度確認できたら広めていきたいと思っています。この菌体の作り方はヒ・ミ・ツ!!です。自分でも驚いています。

しかし、コクシジウムは防ぐ事ができず、雨季が始まった4月からはヒナがバタバタ感染してしまいました。簡易鶏舎では、山国特有の横殴り・下殴りの雨の浸入を防ぐ事ができず、また、濃霧も鶏舎を湿らせてしまいます。

また、私の鶏舎では一つの鶏舎で成鶏から雛までを混ぜて飼っています。一般には大きさの違う鶏を一つの鶏舎に入れることは良くないとされていますが、毎週雛を入れていくと、鶏も慣れてきて問題は起こりません。これも鶏舎を何棟も建てられない農家を想定した実験です。この方法の良いところは、雛が止まり木で寝るようになるのが早くなる事。通常7〜8週かかるところ、4〜5週で止まり木で寝るようになります。しかし、後述しますが、ネズミの被害のため今は育雛をストップしています。

放し飼い養鶏

在来種も現在成鶏14羽を放し飼いにしています。農村ではみな在来種を放し飼いにしていますが、これを改善して同じ環境で規模を大きくしたいためです。

昨年のニューカッスルは在来種にまで感染し、3羽が死亡、残ったメスは子育て中に野良猫に次々と襲われ、結局昨年春のスタート時からの鶏は一羽の雄だけになってしまいました。

しかし、調子に乗って増やしすぎたため、雨季に入ってから問題が起こりました。放し飼いの鶏は豚舎の梁で寝ます。寝るときは強いものから順に寝床を決め、弱いものが最後に家に入ります。晴れていればこれでよいのですが、雨となると瞬く間に集中豪雨になりますので、順番にゆっくり豚舎に入る時間がなく、弱い鶏、若い鶏が屋根の下に入れず、雨ざらしになってしまったのです。結局中雛以下の20羽が殆ど風邪を引いて死んでしまいました。雨よけの屋根だけでも必要なのでした。

天敵

2月末に近所の人が野良猫を捕まえました。これまで私の農園に出没したもので、子育て中の雌鶏を食い続けていたものです。近所の鶏もこの猫にやられたと言う事でした。大喜びも束の間、その後3日目からとたんにネズミの被害が出てきました。雛がどんどん食われてしまうのです。これまでネズミが来なかったのはこの野良猫が守っていたのです。成鶏の被害と雛の被害、一概には比較できませんが、これまで子育て中の雌鶏以外に被害は出ていないので、野良猫がいたほうが良かったのかもしれません。放し飼いの在来種は空が飛べますし(本当です)、夜は豚舎の梁で寝るので、猫は豚を恐れて襲わないのです。それにしても一匹の猫の行動範囲の広さには驚きました。半径500mくらいをカバーしていたようです。

しかし、一番の天敵は何と言っても人間です。これまでの被害で一番大きいのは盗みです。動物は自然の摂理に従ってくれますが、人間は金銭欲にしか従いません。

冬作の麦が届くが遅すぎ、結局失敗


その他、細かな相談・指示・指導は随時多数舞い込み、行っています。


長い報告を最後まで読んで頂きありがとうございました。

まだまだお知らせしたい事は沢山あります。しかし、生活、文化、風習、気候、国家形態、衣食住全てにおいて背景が違うので、一つの出来事を説明するにもクドクドとした説明が必要になり、文も長くなると果たして皆さんに理解してもらえる文になっているか不安になります。

分かりにくい点も多いと思います。是非ご質問・ご感想をお送りください。お待ちしております。なお、約100名の方にミゾラム便りを配信していますが、同じ質問が3名以上の方から来られた場合は、皆様全員にお答えを配信しております。


横田仁志

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